クロモジ<黒文字>
”黒文字”の和名は、枝の表面の黒い斑模様から付いたと考えられる。
雑木林の樹々が落葉してまだ葉が展開しない3~4月に、淡い黄緑色の小さな花を多数つけて早春の雑木林を彩る。9~10月ごろには果実が黒く色づき、紅葉も楽しめる。
22.3.30 クロモジの花m
樹形:落葉性の低木で高さは2~5m。
樹皮:若い枝は黄緑色で毛がみられるが、やがて滑らかな木肌になり、黒い斑模様ができる。時とともに灰褐色のざらついた樹皮に変化する。
0504クロモジ樹皮s
葉:互生、長さ5~10㎝、幅1.5~3.5㎝、葉柄は1~1.5㎝、倒卵状長楕円形

0604クロモジ枝と葉s
花:雌雄異株、小さな花が集まって付く。雄花は雌花より少し大きい。
果実:5~6mmの艶のある球形で果柄は2cmほど、果実の中には丸い種が1個ある。果皮はやわらかく果汁を多く含む。
22.3.30 クロモジの花2m
樹皮や葉には揮発性の甘く強い香りがある。花をイメージさせるフローラルな、甘くやわらかな香りが特徴。 香りの主要な成分は、リナロール、ゲラニオール、テルピネン-4-オールなどで精油として愛されている。
リナロールは、ラベンダー、ローズウッド、イランイラン、ベルガモットなどに含まれ、アロマテラピーの中でも人気の高い香り成分です。
和菓子のとり箸やつまようじなど、暮らしの中に利用され愛されてきました。
また、枝や葉っぱは、お茶、お風呂、お酒、烏樟という生薬に用いられています。
島根県の海士町(あまちょう)で「クロモジ」を使ったお茶「ふくぎ茶」が作られています。福が来ると書いて「ふくぎ」と呼ばれています。
クロモジの花をプラスして、さらに香りを高くした「ふくぎ花茶」の開発は評判で、ふくぎ茶の事業は、施設の運営や利用者の収入に安定をもたらしています。
海士町では事業としてふくぎ茶の持続性を高めるために、クロモジを採取するために環境を整備し苗木を育てています。